香港国家安全維持法とは?一体何が問題なの?

こんにちは、すばるです。

2020年6月30日23時頃、
中国にて「香港国家安全維持法」という”やばい法律”が施行されました。

普段あまり政治関連の記事は書かない僕ですが、さすがにコレだけは一人の民主主義国家の国民として、しっかりと意見を物申しておきたいと思います。

おそらくこの記事を今読んでいる人の中には、香港国家安全維持法を「最近話題になっているあれね!」くらいの感覚で捉えている人も、決して少なくはないと思います。

しかし、今回の話題は、「話題になったね!あはは♪」という感情的なニュースで終えてはいけない内容です。人間はルール(法律や憲法)をコントロールできるからこそ、人間であり、それができないのであれば、弱肉強食の世界で生きる野生動物を同じです。

今回のこの香港国家安全維持法は、それだけ民主主義とは対極するやばい法律であり、僕らはこの法律についてしっかりと理解し、記憶に焼き付けておく必要があります。

本記事では香港国家安全維持法が、

「どのような法律であるのか?」
「一体何が問題なのか?」
「なぜこのような結果になってしまったのか?」

以上の3点について順を追って解説していきたいと思います。

それではどうぞよろしくお願いいたします。

香港国家安全維持法とは?最高刑は無期懲役!

香港国家安全維持法とは、国家の安全に危害を加える犯罪行為を取り締まる法律です。

「国の分裂」、「政権転覆」、「テロ活動」、「外国勢力と結託した国家安全に危害を加える行為」の計4種類の項目が存在し、すべて最高刑は無期懲役となっています。

香港では一定以上の自治を認める「一国二制度」の元、表現の自由やデモの自由などが認められて来ましたが、今回の法律施行によって、それらの一切ができなくなりました。

中国政府にとって都合の悪い状況を、無理やり握り潰すために作られた法律と言っても過言ではありません。

香港国家安全維持法の概要(重要な部分だけピックアップ!)

香港国家安全維持法には以下の内容が含まれます。(以下BBC抜粋)

  • 国家からの離脱、転覆行為、テロリズム、香港に介入する外国勢力との結託といった犯罪を犯した場合、最低3年、最高で無期懲役が科される
  • 中国中央政府と香港の地方政府への憎悪を扇動する行為は第29条違反となる
  • 公共交通機関の施設を損傷する行為はテロリズムとみなされる可能性がある。長期にわたるデモでは、抗議者たちは市内のインフラを標的にすることが多かった
  • 有罪となった者は公職に立候補できない
  • 中国中央政府は香港に新たな保安施設を設立し、独自の法執行官を配置する。施設も法執行官も香港の地元当局の管轄外となる
  • 香港特別行政区行政長官は国家安全保障事件における裁判官を任命できる。香港の法務長官が陪審員の有無を決定できる
  • 地方自治体が設置した国家安全保障委員会の決定に対し、法的な異議申し立てはできない
  • 中国が「非常に深刻」とみなした事件の起訴を引き継ぎ、一部の裁判は非公開で行う
  • 外国の非政府組織や通信社の管理を強化する
  • 同法第38条に基づき、非居住者が海外から同法に違反したとみなされる可能性もあるとみられる

6月30日の施行以前の行為については適用されない。

(引用:https://www.bbc.com/japanese/53244732)

正直、ハチャメチャな法律です。笑

・政府に対する批判は違法行為。(表現の自由はなし)
・中国政府の息がかかった保安施設を香港へ新しく設置。(香港は関与できない)
・国家安全保障事件における裁判官は中国政府が任命可能。
・中国政府の裁量で裁判は非公開で行うことができる。

特にこの4つがとんでもない威力を放っています。

この法律によって、

・デモは弾圧可能。(弾圧の実行は中国政府関連の弾圧専門の組織)
・裁判の判決=中国政府の裁量。
・気に食わないやつは政府の判断で消せる。

みたいなことが可能というわけです。

香港国家安全維持法の問題の本質とは?

続いて、香港国家安全維持法の問題の本質について解説していきましょう。

問題① 表現の自由の侵害

1つ目の問題点は、基本的な人権である表現の自由が大きく侵害されている点です。

香港国家安全維持法が施行される前は、デモの実施や政府に対する批判が一定の範囲内で許されてきました。しかし、今回の法律施行後はデモはもちろんのこと、政府に反対する意見をも違法行為とみなされる可能性があります。

つまり、この法律によって、デモの実施は不可能となるだけでなく、最悪の場合、中国政府が気に食わないと判断した人物を片っ端から排除可能であるという恐ろしいことが、合法的にできてしまうわけです。

問題② 一国二制度の侵害

2つ目の問題点は、一国二制度を侵害している可能性が高い点です。

一国二制度とは、中国という一つの国の中に特別行政区を設け、主権国家の枠組みの範囲内で、法律の制定を含めた自治や国際参加が認める制度で、その特別行政区の一つが香港というわけです。

特別行政区となることで、香港は独自の行政・司法・立法権を持つことができてきました。例えば、中国では認められていない言論の自由や通貨・パスポートを発行する権利などが与えられてきました。

しかし、今回の香港国家安全維持法の施行により、言論の自由など今まで香港政府として認めてきたものを違法とすることで、合法的にデモ集団や政府に楯突く人物を弾圧できるようにしたわけです。

問題③ 中国政府にとって都合の良い拡大解釈が可能

3つ目の問題点は、中国政府にとって都合の良い拡大解釈が可能である点です。

当たり前と言われればそれまでですが、香港国家安全維持法は中国政府により作られ、中国政府により一方的に施行された法律です。しかも、賛成票162票・反対票0票の全会一致で可決されており、施行に反対する為政者は一人もいないのが中国の現実です。

つまり、そもそも中国政府にとって都合の良い法律であることはもちろんのこと、都合の悪い内容は削除、追加が容易に可能であり、法律の解釈も中国政府の思うがままであるため、法律なんて、合って無いようなものというわけです。

香港国家安全維持法の施行に対する各国・機関の声明

今回の香港国家安全維持法のヤバさについてお分かりいただけたところで、各国の反応をまとめて終わりにしたいと思います。

アメリカ・ホワイトハウス「直ちに撤回を!」

(アメリカ・ホワイトハウス NSC=国家安全保障会議より30日の声明)

「中国は香港を『一国一制度』として扱っており、アメリカも同様の扱いをしなければならない」
「アメリカは香港の自由や自治を抑圧した者に対して強力な措置をとり続ける。中国に対し、直ちに撤回するよう求める」

(引用:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200701/k10012490501000.html)

香港にはアメリカの企業も多くあるため、今回の中国の一方的な行動にはアメリカ側も強気に出ることが予想されており、今後の動きに注目したいところではあります。

しかし、中国側もアメリカが提示してくるカードは事前に予測していると思われるため、いつものお互いで制裁をし合って終わる可能性も十分ありえる話です。。。

イギリス外相が中国に対しブチギレ!「約束を破った!」

イギリス外相が本小音国家安全維持法の施行に対し、「約束を破った」とブチギレ声明を出してします。

香港というのは元々はイギリスの領土(植民地)であり、1950年にイギリスが設立を承認する形で誕生・譲渡した国が中華人民共和国という背景があり、イギリス側は中国との間で譲渡を行う際に、取り決めた約束(条件)を破ったとしています。

また、この法律を施行に対し、イギリス側は香港在住の方に対し、英国の永住権を与える準備を整えているとも添えています。

しかし、イギリスは、移民の問題を解消するためにEUから離脱したにも関わらず、中国からの移民は受け入れるとなれば、イギリス国内でも一悶着ありそうな予感はしますね。

国連人権理事会と27カ国(日本を含む)の共同声明「人権に悪影響を及ぼす」

「人権に悪影響を及ぼす」として、実は日本も27カ国の共同声明で中国を牽制してはいます。

とは言え、日本が具体的な経済制裁に踏み切ることがないことは中国側もわかっていることですので、この27カ国の声明が何か大きな影響を与えることはほぼないと言えます。

まとめ

香港国家安全維持法の施行は民主主義とはかけ離れた行動だけに、日本人である僕らから見ると非現実的な内容ですが、実際にすぐ隣の国で起きていることであり、まず僕らができることは、今回の一見をしっかりと理解し、記憶として焼き付けておくことです。

僕自身、ニュースを通しての情報源に限られるため、この問題の本質を語るには情報が不足し過ぎていることには違いありませんが、ここまでの内容を踏まえ、僕が最も今回の一見で恐怖に感じたことは『中国政府の横暴さ』です。

正直、「ここまでやるのかぁ」というのが本音です。

今回の一見は、中国が香港デモを弾圧しようとしているというシンプルな話ではなく、中国政府の横暴さが今まで以上に悪化しているというのが最大の問題かもしれません。

これは香港だけの問題だけではなく、全人類が本気で考えるべき問題です。

本記事ではあえて触れていませんが、日本は単なる目撃者ではなく、尖閣諸島問題など現在中国と日本の間で抱えている全ての問題において、中国の出方や日本としてのあり方というのを再度見直す必要があります。

日本国憲法の9条の問題も、単に「戦争法案」「戦争反対」などと言った感情的な議論ではなく、しっかりと言葉を明確に定義し、可及的かつ慎重に話を進めていくことこそが、今の僕ら日本人に最も求められていることなのかもしれません。

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